車椅子でも成人式に振袖が着られる!バリアフリー着物を紹介
大人になった若者を祝福する成人式や子供の成長を祝う七五三など、人生における最高の瞬間を輝かせてくれる着物。最も美しい民族衣装として世界的に認められています。しかしその裏で、車椅子を理由に着物を諦める人が多いことはあまり知られていません。振袖は通常の着物より着付けが難しいため、プロの着付け師でも1時間~1時間半ほどかかります。「立つ」「座る」「歩く」などの動作が不自由な人たちにとって、振袖の着用はとても難しいことなのです。
そこで今回は、車椅子ユーザーでも和装を楽しめる「バリアフリー着物」についてご紹介します。
車椅子利用者の和装について
一般的に振袖の着付けは立ったままおこなうのが基本です。着物、帯、長襦袢、衿などを幾重にも重ねるため、通常の着物よりも着付けに時間がかかります。日常の生活風景から和装姿が消えた今、着物は現代人から遠い存在になってしまいました。「息苦しさや締め付けを感じた」「式典前に疲れてしまった」といったエピソードを耳にした方もいらっしゃるかもしれません。
着物というものは健常者にとってもなかなかハードルの高い民族衣装。ただでさえハードルが高い振袖を車椅子利用者に負担がかからないよう着付けるには技術が必要です。車椅子利用者は体に障害がいやリスクを背負っていることが多く、安易に着付けをおこなうと事故につながる恐れも…。仮に上手く着れたとしても移動時やトイレ後の着崩れなど、車椅子ならではの問題を解消しなければならないのです。
パラリンピックが世界を変える!バリアフリー着物に注目
新型コロナウィルスの影響で史上初の1年延期となった東京パラリンピック。世界保健機関(WHO)のデータによると、世界人口の約15%が障がいを持って暮らしています。同機関の報告においては「ほとんどの人が一時的または永続的に障害を経験し得る」との記述もあります。
緊急事態宣言下で開催された東京パラリンピックでは、障がい者の超人的なプレーと共にバリアフリー着物にも注目が集まりました。バリアフリー着物は特別ではない存在に目を向けた証。長時間座っていても着崩れないよう作られているので、車椅子利用者も安心安全に和装を楽しむことができます。
体が不自由な方でも楽しめるバリアフリー振袖
振袖の着付けは長時間立ちっぱなしの状態が続くため、車椅子利用者やベッド生活が主体の方は振袖を着用するのが困難とされてきました。しかし成人式は明るい未来と幸せを願う大切な記念日。「振袖姿を諦めてほしくない」という思いから、簡単に着脱できるバリアフリー振袖が作り出されたのです。
制作者のやさしさが詰まったバリアフリー振袖。美しい見た目はもちろん、使いやすさを考慮して作られています。その一つとして上衣と下衣に分かれたセパレートタイプがあります。車椅子に座ったまま着用できるので着付けが簡単♪また締め付けが少なく長時間着用していても苦しさを感じにくいため、成人式が終わるまで快適に過ごせるのもうれしいポイントです。他にもファスナー加工がされた振袖や糸と針を使って結ぶ造り帯など、手軽におしゃれを楽しめる素敵なアイテムばかり。誰もが自分らしいスタイルを実現できる日は、そう遠くないのかも知れません。
バリアフリー振袖を取り扱うおすすめショップ3選
誰でも気軽に楽しめるバリアフリー振袖を考案したおすすめショップを3店舗ご紹介します。宅配レンタル可能な福祉着物専門店や着脱しやすい着物を制作している着物店など、個性溢れるラインナップ。ユニバーサルデザイン着物をお探しの方必見です。ぜひ参考にしてください。
明日櫻
明日櫻はバリアフリー着物を扱う着物工房です。上下に分かれた二部式着物なので、さまざまな疾患や体型にも対応可能◎振袖と一緒に着付けのマニュアルが同梱されているため、和装に関する知識がなくても正しく着付けることができますよ♪
さくら着物工房
ユニバーサルデザインで体が不自由な方の着物ライフを応援するさくら着物工房。着脱しやすいファスナー付き着物や簡単着装造り帯など、車椅子利用者でも楽に着れるアイテムを考案しています。ハサミを入れずに仕立てるので、自分の体型に合わせて作り変えることが可能です。
羽衣スタイル
羽衣スタイルは愛知県春日井市にある福祉着物レンタル専門店です。マジックテープやファスナーを使用したバリアフリー振袖を提供。それぞれが抱える困り事を細かくヒアリングしたうえで一番似合う振袖を準備してくれるため、試着にいけなくても安心しておまかせできます。見栄えにもこだわって作られた振袖は成人式会場を華やかに彩ること間違いなしです。
まとめ
ファスナー加工着物や二部式着物、造り帯など特殊な構造のアイテムがたくさん揃えられていることはご理解いただけたでしょうか。バリアフリー振袖とはいえ質が高く見栄え抜群!体が不自由な方も美しい振袖姿で成人式を迎えることができるのです。
人生の節目は誰にとってもかけがえのない特別な日。自分にとっての常識や当たり前が他の誰かにとっても同じものになるよう、社会全体がバリアフリーについて考えるようになればいいですね。